普通のお風呂だけでは物足りない!そんなあなたにはこの「発酵おがくず風呂」が最適かも!
抜群効果で疲れもスッキリ。
洋室中央の床に、長方形の深い大箱が、文字どおりデンといった感じで据えてあった。中身は米ヌカを混ぜたオガクズということだ。大箱の形に沿って周囲が枠のように均され、その内側が台形にうず高く盛られている。大箱の中に巨大なインゴットが一つ。印象としてはそんな感じだ。
隅にあるユニットシャワーを除けば、部屋にある調度はたったそれだけ。浴槽もなければ流し場もない。フツーの入浴イメージとはあまりにもかけ離れた光景なので、しばし目が点に。
隣室にもそれと同じ箱が二つ据えてあるのを見せてもらったが、それにしても贅沢な造りだ。赤坂といえば都内の一等地。そのビルの二部屋に箱がたったの三つ。貧乏性と言われてしまえばそれまでだが、とにもかくにも最初から度肝を抜かれてしまった。
シャワーを浴びて終わりかと思ったら、まだ半分の行程だと言われた。
外に用意されていた替えのパンツを穿き、丈の長い甚平スタイルのコスチュームを羽織って受付のある部屋に戻った。
時間待ちの椅子全部が、いつしか若い女性たちで埋まっていた。
そういえば、ほとんどが女性のお客さんなんですと、担当さんが言っていた。
「はい、そこへ横になって足をここに乗せてください」
担当さんから声が掛かってコース再開。 指示どおりタオルを頭に被って細いベッドに身体を仰向けに倒し、窪みが二つある「ゆりっこ」という器具に両足首をすっぽり乗せる。
身体に夏掛けが掛かってスイッチオン。瞬時に「ゆりっこ」が左右に動く。いわゆる金魚運動というやつだ。
最初は足首だけだった金魚運動だが、身体をすっかりゆだねるうちに腹部までそれが到達、すぐに下半身全体のS字運動へと変化を遂げた。腰と腸の不具合に色々と効き目がありそうだ。 依然として全身の発汗は活発に続いている。
人間の身体の大半は水分で構成されていると学校で習ったが、まさに実感である。サウナに入ってもかなり汗が出るが、今のようになるまでは高温すぎてなかなか我慢しきれない。それに較べ、このコースの高温は最初に入った酵素風呂だけ、後は身体の芯に残った熱の余韻、リハビリのような、半ば強制的な介添え役あっての結果だ。
気がついてみると、酵素風呂のときと同じように頭部からも盛んに汗が出ている。なのに今度はちっとも痒くない。
むしろスースーしてくる。どうやら頭皮のリフレッシュは完璧だったようだ。
この間も、先ほどと同じく15分の行程。 次に、足が左右に分かれる寝袋のようなエアーバッグに入る。足腰の痛みや脂肪の揉み出し、血行促進などに効果があるらしい。
腰から下が、エアーでギューっと締めつけられてパッと開放される。それが何回も繰り返される。脂肪はおろか、大概のものは揉み出されてしまうのではなかろうか。便秘にもかなり効きそうだ。 そのぐらいこのギューは強烈であって、一瞬だが、骨盤が割れてしまうのではないかとさえ思った。だからパッと空気が抜けた時の開放感たるや…これまでほとんど経験がない感覚なので、どうも筆舌に尽くしがたい。で、この行程も15分で終了。
その間にも受付の電話のベルがひっきりなし鳴る。次々と予約が入っているようだ。
「申し訳ありません。今日はもう一杯で。はい、明日の午後ならなんとか大丈夫です」
新規の客筋もさることながら、リピーターがかなりの数に昇るという。 さて、これで、
「はい、こっちに来てください」 まだ次があるんだな、これが。
こうなったら俎板の鯉、「はいはい」と答えながら、すべてをゆだねた心地よさも手伝って、結構いそいそと場所を移動する。そうさせた有川さんの技おそるべしである。体脂肪率が、一回で3%も減少した人がいるそうだが、むべなるかなである。 「これが最後です」 と有川さんが言った行程は温浴器。下の容器にくるぶしから下全部の足を、上の容器に肘から先の腕全部を、それぞれぬるま湯の中にどっぷりと浸ける。
肘を曲げて交差した恰好と、椅子に座って足を折った恰好は、コサックダンスを踊る姿勢に近い。ぬるま湯がぶくぶくと手と足の周りを循環している。
「ツボが集中している足の裏と手の平を同時に温めながら柔らかく刺激します。それによって細胞の活性化が促進されるんです」 担当さんの説明を背中で聞きつつも、上の容器に顎まで預けて半睡眠状態。力がすっかり抜けた全身を、さらに柔らかく揉みほぐすような優しい刺激がなんともいえず心地よく、あっという間の15分であった。
「これで全て終了しました」 そう担当さんに声をかけられたのだが、これで終わるのがちょっと残念な気さえしてきた。
どうやら酵素風呂の効果に、すっかりハマッてしまったようだ。 最後のシャワーを浴びてから休憩スペースの椅子にもたれ、担当さんサービスのドリンク剤をゆっくりと飲む。
身体中に涼味が広がっていく。 体験的『酵素おがくず風呂』。文字どおり「いい汗」をたっぷりかいた1時間15分であった。
……ああそういうことか」と、すぐに納得がいった。と言うのも、釣りの餌に使うミミズを掘るために、藁や野菜屑が何層にも重なった堆肥を崩すと中から湯気が出てくる。しかもミミズの体色がえらく赤い。土を掘って取ったものとは比べ物にならないくらい赤い。
つまり堆肥にいるミミズのほうが、養分たっぷりのせいか肌の色艶が格段にいいのだ。
「それと同じ理屈ですか」
「そう、同じ。ただしこの中の熱は60度から70度ですから堆肥の比ではないですが。ですから15分ほど入っているだけで体の芯まで暖まってくるわけ」
芯まで暖まれば、汗がどんどん出る。いきおい毛穴の奥に溜まった老廃物が次から次と排出されて、最後に大きく開いた毛穴から酵素が吸収される。したがって美容と健康にいいのだそうだ。なるほど道理だ。 「では、上がってください」
ここに左足、ここに右足、ここがお尻、という具合に有川さんがオガクズに印を付けてくれる。
言われたとおり大箱のふちを跨ぎ、枕の形に盛られたオガクズに頭を預けて仰向けに横たわった。
プンと米ヌカの匂いがする。入る前は湿った匂いを想像していたのだが、それとはまったく違って、どちらかというと香ばしい匂いだ。
背中が暖かくて実に気持がいい。身体の下に、50p以上の厚みで敷き詰められているオガクズの存在感が、クッションのような感触によって、つぶさに実感できる。
台形を崩して周囲にどけてあったオガクズが、つま先、脛、腿、お腹、胸の順に、てんこ盛りに被されていく。なるほどこれは介添え役が居なければどうにもならない。自分でモグラのように潜って、というわけにはとてもいかない。深度が深くなるほど高温になるらしいので、下手に潜れば火傷しかねない。
最後に首の周りを埋められ、まずは第一行程の準備終了。その姿を説明すると、身体全体がオガクズに埋まり、宙に浮いた恰好で大箱の中に横たわる人間。ツタンカーメンの姿を想像いただくと分かりやすいかもしれない。
最初は足首、次に、ふくらはぎ、臀部から背中と、オガクズを盛られた順にジワリと熱くなってくる。さらにジワリ。そしてさらにジワリ。これが酵素発酵菌の繁殖による自然発熱とは
「熱いお風呂が好きですか。ぬるいお風呂が好きですか」 そう有川さんに聞かれた。
曲がりなりにも、「てやんで江戸っ子でい」と、我慢こそが粋と心得る家系の端くれなので、本来なら「熱いほうが」と言いたいところなのだが、ここで軽率に答えると、後でとんでもないことになりそうな予感が頻りにする。
そこで、「中位がいいです」と無難に答えておいた。
後から考えると、この場合は、まさにそれが正解だった。
「中位ね」 と言いながら、有川さんがオガクズを手で掻きまわしている。
きれいに盛ってあった台形が端から崩れ、湯気が盛んに立ち昇ってくる。温度もかなり高そうだ。
ところがである。どこを見回しても熱源がまるで見当らない。どうやってオガクズを温めているのかが、まるで分からない。で、聞いみる、
「温めていませんよ。桧(ひのき)のオガクズと米ヌカに混ぜてある酵素が発酵して自然に熱が出るんです」 「ん?
やっと担当者さんから声が掛かった。 「はいお疲れさま。外に出てこれでオガクズを払ってください」
言われるままに、渡された洗車ブラシのような道具でオガクズを落としに掛かったのだが、べったりと身体に張り付いていてパラパラというわけにはいかない。
「それだけ厚く付着するので、発汗しても箱の中身が汚れないんです。でも、一週間毎に全部入れ替えますけどね」
そういえば、3階に上がる階段の右半分のスペースに、オガクズの袋が山のように積んであった。その入れ替えたるや重労働らしい。
「終わったらシャワーを浴びてください。ただし、シャンプーは頭だけね。でない
と、せっかく毛穴が吸収している酵素が落ちてしまいますから」 分かりましたと返事をしながらシャワーボックスに飛びこみ、とにもかくにも洗髪にかかる。剥がれるように痒みが取れて快感が走った。頭皮全体の毛穴が、盛んに酸素を吸収している図柄が見えるような気がする。
巣鴨酵素風呂・赤坂店
SUGAMOKOUSOBURO AKASAKA
■交 通 地下鉄千代田線乃木坂から徒歩8分
港区赤坂8−8−2(2F) TEL 03‐3423‐1351
■料 金 大人2500円(エアーバッグ使用料500円)
■受付時間 AM11:00〜PM2:00 PM 5:00〜PM7:00
■泉 質 酵素発酵菌
■効 能 疲労回復・美肌づくり・やせたい方・神 経痛・高血圧・肩こり・冷え性・腰痛・
糖尿病・肝臓病・ぜんそく。水虫・リウマ チ・痔・便秘・その他交通事故の後遺症等
■お風呂の種類 酵素風呂(発酵菌による自然発熱) シャワー
■設備の種類 休息ベッドと「ゆりっこ」(下半身 の金魚運動)・エアーバッグ・手足
同時温浴器
■エステ等 美容バレエクラス(月・木)
■アメニティ タオル、バスタオル、ドライヤー、 館内着
ともかく相当な熱量だ。やはり「中位」にしといて正解だったようだ。何回か通うと、さらに高温を望むようになるそうだが。
5分10分と経つうちに、その熱さにもかなり慣れてきた。熱い快感。鼻腔が焦げるような熱さを覚えるサウナとは、全く違った熱の感触だ。同時に身体中から吹き出してくる汗を猛烈に感じる。はじめはフツフツと、その後は滝のように。特に露出している顔と頭部のあたりに著しくそれを感じる。
昨夜から今朝にかけて半徹夜状態だったので、家を出る前にシャワーを浴びて洗髪してきた。にもかかわらず、頭が強烈な痒みにおそわれた。いよいよ頭皮の奥に潜んでいた老廃物が押し出されてきたようだ。
そんなこんなで、とことん汗を絞られること15分。